お葬式の作法と焼香の歴史

お葬式の作法と焼香の歴史 お葬式につきもののお焼香。故人への弔いや感謝の気持ちを持って行うものです。しかし、なぜお葬式で焼香を焚くのか理解して儀式に臨んでいる方はほとんどいないのではないでしょうか。現代の焼香は、お葬式などの儀式において死者を弔うために線香や抹香などを焚くのが慣習となっています。その歴史は仏教の起源、発祥と同様に古代インドまでさかのぼります。周知のように仏教を説いたのはお釈迦様です。お焼香は心身の穢れを祓い清らかな心で故人や仏様に祈りをささげることを目的として広まったものですが、実は2つの大きな悩みを解消するために用いられたと言われています。

その1つが信者の体臭や悪臭の匂い消しです。仏教が説かれたのは2千年以上も前のことであり、灼熱の太陽が照りつけるインドでは連日40度を超える日が続いていました。新興宗教の1つとして産声をあげたばかりの仏教は、当初、肉体労働や物乞いをして何とか生き抜いている最下層の人々を対象としていました。酷暑のなか1日中外で働き、シャワーやお風呂の習慣もない人々から発せられる体臭はすさまじいものでした。お釈迦様が説法をしようとしてもあまりの悪臭のため呼吸もできないほどです。そこで、人々の体臭や悪臭を消すために香を炊くという行為が取り入れられたと言われています。毎日入浴する習慣のない欧米で体臭を消すために香水が発達したように、インドでも体臭を消すためにお香の文化が広まったのでしょう。

もう1つはお葬式に関わる理由です。インドではガンジス川は現在でも聖なる川と呼ばれ、国内外から仏様の恩恵を受けようと沐浴に多くの人々が訪れています。入浴の代わりに浸かったり、食べ物や洗濯物を洗ったりと生活に密着した川であるだけでなく、火葬文化がないため遺体をそのまま流すということもあります。古代インドでも火葬の習慣はなく、高温多湿の環境ではすぐに遺体が腐敗して悪臭を放ちお葬式を妨げるものでした。そこでお香を焚いて臭いを消したのです。お香に遺体の腐敗臭を消す力があることから、不浄なものを祓うことができると考えられるようになり、お葬式のお焼香として発展していったと考えられています。

このようにお焼香は、悪臭を消すために取り入れられやがて宗教的な意味をもつものとして発展していったものなのです。お焼香をする際には、己の不浄を祓い清らかな心で故人や仏様に手を合わせるという基本的な心構えを知って臨みましょう。

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